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キアリ様奇形

キアリ様奇形

投稿者 hagiwara | 勉強会, 脳・神経科

本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズに参加してまいりました。本日は「脳疾患」についての講義でした。
脳疾患は原因により大まかに7つに分類されます。その頭文字をとって、「DAMNIT-V」と呼ばれています。
D (degenerative) 変性性:蓄積病・てんかんなど
A (anomaious) 先天奇形:水頭症・小脳形成不全・キアリ奇形・脊髄空洞症など
M (metabolic) 代謝性:肝性脳症・低酸素脳症・尿毒症・低血糖脳症など
N (neoplastic) 腫瘍性:脳腫瘍・脊髄腫瘍・転移性腫瘍・末梢神経腫瘍など
I (inflammatory) 炎症性:肉芽腫性髄膜脳脊髄炎など
(infectious) 感染性:ジステンパーウィルス脳炎・細菌性髄膜炎など
(idiopathic) 特発性:てんかん・特発性三叉神経炎など
(iatrogenic) 医原性:医原性クッシング症候群など
T (traumatic) 外傷性:頭部外傷・脊髄損傷など
(toxic) 中毒性:殺虫剤など
V (vascular) 血管性:脳梗塞・脳出血・脊髄梗塞など

本日は、この中で主にD (degenerative) 変性性疾患とA (anomaious)
先天奇形についてのお話でした。今回はこの中のA (anomaious)
先天奇形に分類される「キアリ様奇形」についてご説明させていただきたいと思います。
「キアリ様奇形」とは小脳扁桃が脊柱管内に陥入してしまう奇形で、「偽小脳ヘルニア」とも呼ばれています。水頭症や脊髄空洞症といった脳疾患を併発することもあります。犬種はキャバリア・キングチャールズスパニエルに圧倒的に多いといわれており、キャバリア・キングチャールズスパニエルの7~8割は、臨床症状はないのですが、キアリ奇形をもっていると言われています。奇形疾患は比較的若齢時での発症・診断が多いと言われておりますが、この病気は比較的中齢(5~6歳)に診断されることが多いそうです。臨床症状として、発作・斜頚・前肢の軽度不全麻痺~四肢不全麻痺・知覚過敏・側湾症(背骨を曲げる)などの一般的な神経症状がみられることもありますが、特徴的な症状として皮膚病変がないにも関わらず頚部を異常にひっかく行動がみられ、ひどくなると頚部痛をおこすとも言われています。診断は主にMRI検査になり、治療は内科的にお薬で付き合っていく方法と外科的治療があります。
頚部をひっかく症状が、まさか頭の疾患だとは思いにくいですよね。皮膚病や外耳炎がないにも関わらず、しきりに首をひっかいている症状がみられましたら、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ:TEL 042-531-3912

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