本日は午前診療終了後、新宿で開催された「神経学的検査・脊髄疾患」の勉強会に参加してまいりました。今回は脊髄疾患の1つである「椎間板ヘルニア」についてご説明させて頂こうと思います。
背骨と背骨の間には椎間板といわれる物質が存在します。また、背骨の中には脊髄(神経)が存在します。椎間板ヘルニアとは椎間板の変性が生じ、椎間板が突出することによって脊髄を圧迫・傷害し、様々な神経症状を引き起こす疾患です。ダックスフンド(圧倒的に多いので要注意です!)、ビーグル、ウェルッシュ・コーギー、シーズー、プードルなどに多いといわれています。
通常は頚部や背中に痛みが生じ、より重度になると歩行不全、排尿・排便困難、完全麻痺へと進行します。3~6%の症例では進行性脊髄軟化症(脊髄が尾側から頭側に向かって壊死し呼吸が停止してしまいます)を発症し、死亡してしまうこともあります。
診断はまず神経学的検査を行い、病気の進行度、病変の大まかな位置などを確認します。単純レントゲン検査では診断率は50%といわれており、確定診断には全身麻酔下での脊髄造影検査(脊髄に造影剤を流してからレントゲン撮影をする検査)、CT、MRI検査などが必要になります。症状によってグレード1~5に分類します。
【椎間板ヘルニアのグレード分類】
グレードI:疼痛のみで神経症状がない
グレードII不全麻痺だが歩行可能
グレードIII:重度の不全麻痺(歩行・起立不可)
グレードIV:完全麻痺
グレードV:深部痛覚のない完全麻痺
グレードが低い症例では内科療法(痛み止めのお薬などを内服し絶対安静)によって良くなることが多いといわれていますが、グレードが高くなるにつれて、特に4以上では内科療法では反応しないことが多く、その場合、手術で椎間板物質を摘出しなければなりません。しかし、手術をすれば絶対に治るというわけではなく、神経の炎症がひどい場合には良くならないこともあります。
突然発症することが多いので、驚いて来院される方が多い病気です。上記のような症状がみられましたら、お早めにご相談ください。
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