ポメラニアン 去勢オス 4歳齢
主訴:3ヶ月程前より被毛が薄くなってきた。
疾患の鑑別のため各種皮膚検査、血液検査、画像検査、尿検査、皮膚生検(皮膚の一部を切除し、組織学的に検査をする)を行いました。
毛根の拡大図:休止期毛ばかりがみとめられました。
局所麻酔下でパンチ生検を行いました。
病理検査所見では重度の毛包萎縮が見られました。
検査所見より、感染症、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症を否定し、脱毛症X(アロペシアX)を疑いました。
治療としてメラトニンの投与を開始しました。
数ヶ月後、発毛傾向がみられました。
アロペシアXとは成犬になってから発症することのある、進行性、両側対称性、非炎症性、非掻痒性の脱毛疾患で、ポメラニアン、プードル、ハスキーなどの北欧犬種に好発します。
副腎という臓器の性ホルモン産生の不均衡が原因として示唆されていますがまだはっきりとしていないため、脱毛症Xという疾患名で呼ばれています。
治療としては去勢手術、メラトニン、トリロスタン、成長ホルモンなどが報告されていますがどれも確実に効果がみられるというわけではなく、改善後に再発する事もありますので慎重に経過を観察する必要があります。
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