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骨肉腫

骨肉腫

投稿者 hagiwara | 勉強会, 腫瘍科

こんにちは。獣医師の萩原です。710日(土)11日(日)はお休みを頂き、日本獣医がん学会に参加してまいりました。がん学会は1年に2回、夏は神奈川、冬は大阪で開催され、できる限り参加するようにしています。今回のメインテーマは「骨腫瘍」でした。今回は骨腫瘍の中でも最も多い腫瘍である「骨肉腫」についてご説明させて頂きます。

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【骨肉腫】

わんちゃんの骨肉腫は大型犬の前肢に多発し(後肢の約2倍)、橈骨遠位端と上腕骨近位端が2大好発部位とされています。

遠隔転移率が高く、断脚術のみでの術後生存期間中央値は4ヵ月、1年生存率は10%と極めて低いといわれています。

【わんちゃんの骨肉腫】

<発生率>

全腫瘍中27%(骨格腫瘍の85%)

<発生年齢>

2歳と7歳(二相性の発生ピーク)(1824ヵ月齢→15%)

<好発犬種>

大型犬(体重10kg以下は5%未満)

<性差>

なし

<発生因子>

外傷性・遺伝性など

<好発部位>

体軸(25%)(下顎>上顎>脊椎>頭蓋骨>肋骨>他)

四肢(75%)骨幹端>骨幹

2/3が前肢→橈骨遠位・上腕骨近位に多い

1/3が後肢→大腿骨遠位・脛骨近位に多い

<発生状況>

局所侵襲性が強い

リンパ節浸潤はまれ

遠隔転移性が強い

90%以上が初診時に微細転移巣があるといわれている。

関節を超えることまれ

<予後>

断脚術のみ→中央生存期間110日(4ヵ月)・1年生存率10

断脚術+抗がん剤→中央生存期間6ヵ月~1年・1年生存率50

【猫ちゃんの骨肉腫】

<発生率>

非常にまれ

<好発年齢>

10.2

<発生部位>

前肢<後肢(前肢の2倍)

体軸骨<長骨(体軸の2倍)

<発生状況>

8090%が悪性腫瘍

犬より低侵襲性・低転移性

<予後>

断脚のみで中央生存期間2

<性差>

なし

四肢の骨肉腫に対する断脚手術は根治目的以外に残された期間の生命の質を改善する対症治療としての意義も高く、骨肉腫の患肢を放置した場合には、腫瘍による自潰・腫脹・疼痛など飼い主様が見ていられない状態に陥ることが少なくありません。

足を取ってしまうのは残酷なようにみえるかもしれませんが、腫瘍の足を残すことによって自潰、疼痛がひどくなり、苦しむことになるので、わんちゃんにとっては足がない方が快適に過ごせます。私自身、骨肉腫で断脚した子を何例もみていますが、3本足でも上手に歩けるようになることがほとんどです。

骨肉腫の臨床症状は患肢跛行・患部の熱感・急速な患部腫脹・硬固な腫瘤・激しい疼痛などになります。このような症状がみられた場合はお早めにご相談ください。

お問い合わせ:TEL 042-531-3912

■東京都立川市のマミー動物病院/対応エリア

<東京都> 立川市、武蔵村山市、昭島市、福生市、瑞穂町

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