2月16日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「リンパ節、胸腔、腹腔の超音波診断、超音波ガイド下生検」についての講義に院長と参加してまいりました。今回は胸水・胸腔内腫瘍の画像診断(レントゲン・超音波診断)についてお話させて頂きます。
【胸水・胸腔内腫瘍の画像診断(レントゲン・超音波診断)】
★レントゲン検査→液体は白く空気は黒くうつります。
★超音波検査(エコー検査)→液体は黒くうつりますが、空気はよくうつりません。肺は酸素を交換するところで空気がたくさんある臓器なので、基本的にはよくうつらない臓器になります。しかし、胸腔内に液体が溜まっていると液体が黒くうつるため、肺や胸腔内の腫瘍などがよくみえるようになります。
【実際の症例】
★正常猫★
<胸部レントゲン検査>
心臓は血液が溜まっているため白くうつります。肺は空気が入っているため黒くうつります。
★胸水が貯留している猫★
<胸部レントゲン検査>
レントゲンで黒いはずの肺が白くうつっています。このような時は胸腔内に水が溜まっている(胸水)か、腫瘍の存在を疑います。
<超音波(エコー)検査>
胸水が貯留している時は、より詳しい精査のために胸腔の超音波検査を行います。エコーでは液体は黒くうつるので胸水は黒くうつります。超音波検査では、胸水貯留の程度や場所、腫瘍の有無などを確認します。
腫瘍がみつかりました。
超音波下で針生検したところ、「縦隔型リンパ腫」という悪性腫瘍でした。
★胸腔内に腫瘍がある猫★
<胸部レントゲン検査>
心臓の頭側に腫瘍が存在しています。
<超音波(エコー)検査>
超音波検査では内部に嚢胞を含んでいることがわかります。
超音波下で針生検したところ、胸腺腫疑いでした。
胸腔内のしこりや胸水の生検は超音波下で行うとより安全に行うことができます。画像診断(レントゲン・エコー)のみではしこりの診断名はつかないため、まずは針生検をお勧めしています。
ここ1年、胸水が貯留していたり、胸腔内に腫瘍がある子が立て続けに来院なさいました。呼吸困難に陥っている子が多いため、興奮させないように慎重に検査を行わなければなりません。
コメント:0