先日は日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズに参加し、犬と猫の代表的な肝疾患について勉強してまいりました。
本日は肝リピドーシスについてご説明いたします。
【肝リピドーシス】
肝細胞への過剰な脂肪蓄積によりおこる肝機能障害
中年齢の肥満猫に多い
肥満猫での食欲不振
↓
体脂肪を分解しエネルギーとして利用
↓
遊離脂肪酸が肝臓に運ばれ代謝
↓
肝臓に脂肪が蓄積
↓
肝リピドーシス
<病歴・症状>
中年齢・肥満猫
食欲は低下~廃絶(通常は1週間以上)
体重減少(25%以上減少)
黄疸・嘔吐・逆流・嗜眠・虚弱など
<診断>
血液検査・超音波検査・肝臓の針生検など
<治療>
点滴・栄養補給
治療しない場合、ほとんどの猫が死亡します。
治療には時間がかかり、長い場合は3ヶ月以上かかることがあります。
退院後も栄養補給や投薬が必要なため、飼い主様の努力が必要になります。
しかし合併症がなく治療を継続すれば、完治できる病気です。
当院にもたまに肝リピドーシスの猫ちゃんが来院されることがあります。
点滴などである程度状態を落ち着かせてから、麻酔下にて食道にチューブをいれ、そこから流動食をいれて治療をしています。
完治するまでは時間がかかるため、ある程度状態が落ち着いたら退院して、ご自宅でチューブから流動食を与えます。
最初は「流動食をいれるなんて、お家でできるかな?」ととまどってしまう飼い主様もいらっしゃいますが、ほとんどの場合はお家でもうまく栄養補給できるようになります。
特に肥満の猫ちゃんが、数日間食欲がなかった場合は肝リピドーシスの可能性もありますので、お早めに来院頂ければと思います。
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