2月2日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「慢性腎臓病」についての講義に院長と参加してまいりました。今回は慢性腎臓病についてお話させて頂きます。
慢性腎臓病の治療は多岐にわたりますが、今回は主に食事療法についてご説明させて頂きます。腎臓病の療法食の有効性についての論文を以下の表に記載いたします。
【慢性腎臓病の犬における食事療法】(Jacob 2002)
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生存日数中央値 |
腎不全による死亡 |
食事変更なし |
188日 |
65% |
腎臓病療法食 |
594日 |
33% |
*療法食を食べたわんちゃんの方が、余命が約3倍に延長しました。
*わんちゃんは1~2週間かけてフードを変更していくと、ほぼ100%成功するといわれています。
【慢性腎臓病の猫における食事療法】(Elliot 2000)
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生存日数中央値 |
腎不全による死亡 |
食事変更なし |
264日 |
69% |
腎臓病療法食 |
633日 |
48% |
*ねこちゃんも、療法食を食べた方が余命が延長します。
*ねこちゃんは数週間から1~2ヵ月間でフードを変更すると、90~95%程度で成功するといわれています。わんちゃんに比べ、ねこちゃんの方が食事を変更するのは大変です。ねこちゃんはわんちゃんに比べ、ごはんを少し変えただけで食べなくなってしまうことが多いからです。よって時間をかけて少しずつ変更していくことが大切です。
★まとめ★
慢性腎臓病のわんちゃん・ねこちゃんは、腎臓病用療法食をできるだけ早期から開始した方が長生きできます。
【慢性腎臓病と飲水について】
慢性腎臓病の子は脱水しやすいため、十分に飲水してもらうことが大切です。ねこちゃんは水に対する嗜好がはっきりしており、好みの水や好みの飲み方にこだわりがある場合が多いので、自宅で十分な量の水を常に飲めるように配慮することが重要です
慢性腎臓病の症状は多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐など多岐にわたります。高齢の猫ちゃんに多くみられる病気で、血液検査・尿検査などによって比較的診断しやすい病気になりますので、中高齢の猫ちゃんは定期的に血液検査・尿検査をすると早期発見ができるかもしれません。
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