検査 記事一覧
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ハリー君にフローレス試験をしてみました
こんにちは、看護師の石黒です。
先月、動物看護学校に通う学生さんが実習に来てくれました。
診察の見学や、ハリー君のお世話をしてもらいました。
わざわざ実習に来て頂いたのでいろんなことを
体験してもらおうと思い、ハリー君に協力してもらい
フローレス試験をしました。
フローレス試験とは、角膜に黄緑色の色素の液を垂らし、
目を洗浄した後、角膜を青い光で照らして
傷の有無を確認するという検査です。
この色素は、角膜の表面に傷がついていると、
そこに沈着して組織を黄緑色に染めます。
正常な角膜であれば、液を垂らして洗浄すると、
色素はすべて流されてしまうため、角膜表面には色素が残りません。
しかし、角膜に傷などがあると、
そこに色素が残るため、洗浄した後に青い光で照らせば、
傷が浮かび上がって見えます。
ハリー君の目には傷がありませんでしたので
色素は残りませんでした。目頭に目やにが残っていたので
それだけが黄緑色に染まりました。
シワひとつなく炊き上がった美味しそうな黒豆みたいだなぁ~
と、いつもハリー君の目を見て思います。
つやつや、黒々、美味しそう♪
ヒトも、鳴くと鼻水が出てきますがハリー君も同じく
目と鼻の通りが良いので目の染色液が時間とともに鼻へ
移動してきました。
あぁ~、垂れる、垂れる!!!
今くしゃみをされたら私たちの顔が黄緑色になってしまいます!
ハリー君、ご協力ありがとうございました☆2017年02月16日(木) 投稿者 ishiguro | できごと, ハリー君日記, 実習, 検査, 眼科, 立川市マミー動物病院ブログ
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総胆汁酸(TBA)
先週は渋谷で開催された肝臓病と甲状腺機能亢進症のセミナーに参加してまいりました。
今回は肝機能検査である総胆汁酸(TBA)についてご説明いたします。
【総胆汁酸(TBA)】
感度・特異性に優れた(=検出率が高く精度がよい)肝機能検査です。<検査方法>
12時間絶食→採血→絶食時総胆汁酸(TBA)測定
食事を与え、2時間後に食後総胆汁酸(TBA)測定<基準値>
犬:空腹時:<20nmol/ml 食後<25nmol/ml
猫:空腹時:<15nmol/ml 食後<20nmol/ml当院においても一般的な術前検査や血液検査などで異常値がみられた場合などに総胆汁酸(TBA)の測定をお勧めすることがありますが、採血が絶食時と食後2時間後の計2回必要になりますので、お預かりして検査することが多いです。
総胆汁酸が上昇している場合、門脈シャント、原発性門脈低形成(肝微小血管異形成)、その他肝疾患など肝機能が低下するような病気である可能性が考えられるため、追加検査をするかご相談になります。
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血腹とドレナージの勉強会に参加してまいりました
血腹とは外傷や腹腔内腫瘍などの破裂などにより腹腔内に血液が貯留している状態です。
当院にもお腹や胸にお水がたまっている(これらを腹水・胸水と呼びます)子が来院されることがあります。腹水や胸水はエコーやレントゲン検査で発見しますが、それが血液なのか、感染によるものか、腫瘍の転移によるものか、心臓病によるものかなど、たまる原因はエコーやレントゲンではわかりません。よって、まずは腹水や胸水を少しでも採取して検査し、液体がたまる原因を調べなければなりません。腹水・胸水がたまる原因によって治療方法が異なるため、腹水・胸水の検査により病気を診断することが重要になります。
今回のセミナーでは様々な血腹の症例をみることができ、また胸腔・腹腔へのドレナージの方法を知ることができたため勉強になりました。
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腎性蛋白尿
先日は都内で開催された心臓病と腎臓病のセミナーに参加してまいりました。
今回は腎性蛋白尿についてご説明いたします。
【腎性蛋白尿】
腎臓病によって蛋白が尿にでてしまうことを腎性蛋白尿といいます。蛋白尿があるか調べるにはまずは尿検査をした後、追加で尿蛋白/クレアチニン比(UPC)という検査が必要になります。
こちらの検査で異常値がでてしまった場合、蛋白尿がでる他の病気を除外し腎性蛋白尿と診断します。腎臓病で蛋白尿がでていた場合、腎臓病が進行しやすいといわれています。よって腎臓病の子は定期的に尿検査をして蛋白尿がでていないか確認しておくことをお勧めいたします。
(*尿蛋白/クレアチニン比(UPC)が0.1上昇した場合、慢性腎臓病の進行リスクは24%上昇するといわれています)【腎性蛋白尿に対する治療】
①腎臓病用療法食:蛋白・リン含有量制限
②レニン・アンギオテンシン系抑制薬
③原因療法(腎生検が必要) -
貯留液(胸水・腹水)
先週は大宮で開催された胸水・腹水のセミナーに行ってきました。
本日は胸水と腹水の検査についてご説明致します。
【胸水・腹水の検査】
X線検査や超音波検査で胸水や腹水を確認した場合、抜去して各種検査を行い何が原因で貯留しているのかを探ります。①性状検査
まずは胸水・腹水の色調・粘稠性・混濁・臭いなどを確認し、必要であれば生化学検査を行います。
その後、屈折計を用い、比重、TPを、また血球計算機を用いて細胞数を計測し、漏出液・変性性漏出液・浸出液に分類いたします。分類することによって何が原因で胸水・腹水が貯留しているのかを予測します。TP(蛋白) 細胞数 漏出液 2.5未満 1000未満 変性性漏出液 2.5~5.0 1000~5000 浸出液 3.0以上 5000以上 <漏出液の原因>
低アルブミン血症・心疾患・腫瘤形成などによる循環障害<変性性漏出液の原因>
心疾患・腫瘤形成などによる循環障害<浸出液の原因>
炎症(膿胸・無菌性化膿性炎症(腫瘍(癌性胸膜炎・腹膜炎など)・慢性化した乳び胸・異物混入・膵炎(腹水)・胆汁性腹膜炎(腹水))など②細胞学的検査
胸水・腹水中に出現している細胞を鑑別する検査。
直接塗抹と沈渣塗抹を作成し、顕微鏡でどのような細胞がでてきているか確認いたします。胸水・腹水が貯留している原因が検査でわかったら、それに対する治療を行います。
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尿蛋白/クレアチニン比(UPC)
先日は六本木で開催された猫の多飲多尿のセミナーに行ってきました。本日は尿蛋白/クレアチニン比(UPC)についてお話し致します。
【尿蛋白/クレアチニン比(UPC)】
尿中の蛋白が有意に高いかどうかを調べる検査です。尿を外部の検査センターに提出し検査しております。
尿検査にて蛋白尿が疑われた際、検査をお勧めしています。
尿蛋白は膀胱炎・腎臓病・免疫疾患・高血圧などによって検出されるため、まずは膀胱炎の除外と血圧測定が必要になります。<検査結果>
尿蛋白/クレアチニン比(UPC) 判定 0.2未満 非蛋白尿 猫:0.2~0.4犬:0.2~0.5 ボーダー 猫:0.4以上犬:0.5以上 蛋白尿 -
猫健康診断キャンペーンのお知らせ
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生検
先日は日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの生検についての講義に参加してまいりました。
生検については以前こちらで簡単にお話ししたことがありますが、今日はさらに詳しくお話いたします。
【生検】
「生検」とは主にしこりの診断をつけるために行う検査のことで、針生検、tru-cut生検、パンチ生検、切開・切除生検などがあります。①針生検(細胞診)
しこりに針をさし、針先にとれた細胞を顕微鏡で確認します。
<適応>
皮膚・皮下腫瘤・体腔内臓器の病変・貯留液
<長所>
迅速・簡易・安価・安全
<短所>
診断に限界がある②tru-cut生検(病理組織検査)
マッチ棒大くらいの組織を採材することができます。
針生検とは違い病理組織検査に提出することができます。
<適応>
皮下腫瘤・深部腫瘤
<長所>
迅速・簡易・安全
<短所>
標本の大きさ・コスト③パンチ生検(病理組織検査)
tru-cut生検よりさらに大きい組織を採材することができます。
先端にはこのようにするどい刃がついています。
採材する組織の量によってサイズを変更します。
<適応>
皮内や皮下腫瘤
<長所>
迅速・簡易・安価・安全 通常全身麻酔の必要なし
<短所>
標本の大きさと到達深度④切開生検・切除生検(病理組織検査)
<適応>
皮内・皮下の腫瘤 潰瘍化したあるいは壊死性の腫瘤に最適な手法
<長所>
大きな標本が採材可能 正常組織と腫瘤の境界部位の採材が可能
<短所>
通常、鎮静あるいは全身麻酔が必要
①→②→③→④になるほど採材できる組織は大きく、確定診断がでる可能性は高くなりますが、侵襲度も高くなります。診察後どの生検法がよいか検討しますが、私はまず侵襲性の低い①針生検をお勧めすることが多いです。針生検の検査結果によって次にどの生検にすすめばよいか検討しています。 -
糞便検査
先日は日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの慢性下痢についての講義に参加してまいりました。今回は糞便検査についてお話し致します。
【糞便検査】
糞便検査は下痢などの腸疾患の診断に有益な検査で、肉眼検査、顕微鏡検査、遺伝子検査などがあります。
<肉眼検査>
糞便量、固さ、色、臭気、粘液付着、血液成分の混入・付着、寄生虫の有無などを確認します。
<顕微鏡検査(直接法+浮遊法)>
寄生虫、細菌、赤血球、白血球、細胞、未消化物の有無などを確認します。
下痢・軟便がみられた時はまずは人差し指の頭大の新鮮便をご持参頂ければと思います。