2010年10月の記事一覧
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心臓超音波研修1回目~右側傍胸骨長軸断面~
10月17日(日)は診察を午前10時までに短縮させて頂いて、院長と二人で都内で開催されている心臓の超音波研修を受けてきました。
この研修は10月から3月にかけて行われます。(研修日の診察時間の変更はこちら)4名1組で実際にわんちゃん・ねこちゃんに超音波診断装置(エコー)をあて、心臓の描出方法をマスターするのが目的です。研修は講義が1時間、実習が2時間になります。
今回は、右側傍胸骨長軸断面(四腔断面(左室流入路)と五腔断面(左室流出路))について研修をうけてまいりました。
【右側傍胸骨長軸断面】
①四腔断面(左室流入路)
②五腔断面(左室流出路)
この断面では心房・心室の大きさ、大動脈拡張の有無、壁の厚さ、弁尖肥厚の有無などについて形態的な評価を行うことができます。
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乳歯遺残
10月20日(水)は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの歯科セミナーに参加してまいりました。今回は「乳歯遺残」についてお話させて頂きます。
まず、乳歯と永久歯が生えてくる時期は以下の表のようになります。
乳歯
永久歯
子犬
子猫
犬
猫
切歯
3~4週
2~3週
3~4ヵ月
3~4ヵ月
犬歯
3週
3~4週
4~6ヵ月
4~5ヵ月
前臼歯
4~12週
3~6週
4~6ヵ月
4~6ヵ月
後臼歯
5~7ヵ月
4~5ヵ月
「乳歯遺残」とは永久歯との交代の時期を過ぎても、乳歯が歯列内に残留することです。乳歯が残存すると永久歯の萌出が遅れたり、不整咬合の原因となります。また歯垢や歯石が付着しやすくなり歯周病の原因にもなります。
よって、自然に抜ける様子がなければ抜歯を行う必要があります。すべての永久歯は6~7ヵ月齢までには萌出が完了し、この時点で乳歯があれば自然に抜ける可能性は少ないです。また、7ヵ月齢に満たない場合でも、永久歯の萌出が始まったにも関わらず乳歯が動揺しなければ抜歯を行った方がよいといわれています。
ゴンちゃんも若い頃、乳歯(犬歯)が抜けなかったため抜歯しました。
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10月17日(日) 診察時間は9時から10時までとなります
2010年10月16日(土) 投稿者 hagiwara | お知らせ, 立川市マミー動物病院ブログ
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貧血
10月13日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「貧血」のセミナーに参加してまいりました。
今回は貧血を呈するわんちゃん・ねこちゃんの症例検討で、各々のプロフィール・血液検査・血液・骨髄塗抹などを多数みることができ勉強になりました。
【貧血】
血液検査で総赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット(PCV)のいずれか、あるいは全ての低下がみられた場合を「貧血」といいます。
総赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット(PCV)は血液検査(血球計算(CBC))でわかります。
<血液検査の手順>
①採血します。
②全自動血球計数器(血球計算(CBC)の測定ができます)に血液をセットします。
③測定中
④数十秒で血球計算(WBC, RBC, Hb, Ht, MCV, MCHC, PLT)の結果がでます。
⑤血液1滴をスライドガラスにうすくのばし、乾燥・固定・染色を行います。(血液塗抹)
⑥次に血液生化学検査を行います。この機械では肝臓・腎臓パネル・血糖値など様々な項目を測定することができます。
⑦顕微鏡で赤血球・白血球・血小板の形態・数などを観察します。
<貧血の分類>
貧血の原因は様々です。大きく分類すると再生性と非再生性に分類されます。
①再生性貧血
骨髄以外の原因による破壊・喪失
a) 急性出血
体内又は体外出血
b) 溶血
赤血球膜の異常(ハインツ小体・肝疾患・脂質異常・低リンなど)
免疫介在性・感染性(バベシア・ヘモプラズマ・免疫介在性溶血性貧血など)
②非再生性貧血
骨髄での産生低下が原因
a) 比較的よくみられるもの
慢性炎症による貧血・腎性貧血・甲状腺機能低下症・白血病ウィルス感染・鉄欠乏性貧血・非再生性免疫介在性貧血など
b) 特殊な骨髄疾患によるもの:骨髄検査をしないと確定診断がつかないケースが多いです。
赤芽球癆・再生不良性貧血・骨髄癆・骨髄異形成症候群など
「貧血」のわんちゃん・ねこちゃんにおいては、「貧血」を主訴にご来院される方は本当にまれです。ほとんどの方は元気・食欲の低下などを主訴に来院され、診察時に貧血が発見されることが多いです。
身体検査のみでは貧血の程度や内臓の状態をはっきりと把握することができませんので、ご家族の方と相談の上、血液検査を行います。少量の血液を採血し、約20~30分後に結果がでます。検査結果がでた後、今後の検査や治療方針についてご相談させて頂きます。
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ハリー君と瑞穂町のドッグラン
夏も終わり涼しくなってきたので、アニマルスタッフのハリー君と瑞穂町にあるドッグランにいってきました。今までも何回か一緒にドッグランにいっているので、ハリー君もだいぶ慣れてきたようです。今年の2月・5月のドックランの様子はこちら。
車にも慣れて自分でジャンプして乗ります。車内では急いで私の膝の上に座ります。
いつも胴輪につけてあるお守りと鑑札です。お守りには「散歩安全」と書いてあります。このお守りは当院に来る前にハリー君がお世話になっていたペットショップのスタッフさんから頂きました。
車に乗ること20分、到着しました。
緑がたくさんあっていいところでした。
ハリー君はいつもはおっとりしていますが、ドックランにくるとものすごい速さで走り回ります。
ずっと走ったり歩き回ったりしていました。
秋になり外出するには良い季節になったので、ハリー君と一緒にいろいろな所に遊びに行きたいです。
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診察時間短縮のお知らせ
この度、循環器専門医による心臓疾患の超音波研修を受講する事になりました。
それに伴い、数日のみ診察時間を短縮させて頂きます。
ご迷惑をおかけいたしますが今後も現状に満足する事なく、動物達と飼い主様が
より良い生活を送るためのお手伝いが出来るよう診察技術の向上に努めたいと
思いますのでよろしくお願い致します。
診察時間変更日
平成22年
10月17日(日)
10月31日(日)
12月19日(日)
平成23年
1月23日(日)
2月27日(日)
3月20日(日)
上記日程は診察時間が
午前9時~午前10時までとなります。
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本日のわんにゃんドック
本日の「わんにゃんドック」は8歳のマルチーズの女の子でした。
この子はまだお家に来たばかりで、一度、一通り健康診断を受けたいとのご希望があり、ご家族の方とご相談した結果、わんにゃんドックを受けて頂くことになりました。
わんにゃんドックとは、「一般身体検査・尿検査・糞便検査・血液検査・胸部レントゲン・腹部レントゲン・超音波検査」で全身を一通り検査する、人間ドックのような検査になります。
あらかじめお電話または御来院にてご予約を頂きます。検査当日は10時までに御来院頂き、ご家族の方に色々とお話しを伺います。(問診)
その後、お預かりし一般身体検査になります。体重・体温・体脂肪・心拍数・呼吸数を測定し、皮膚・眼・耳・口・鼻・四肢・体表リンパ節などを一通り視診・触診・聴診します。
次に、少しだけ採血し、血液検査を行います。院内に血液検査機器があるため、20分ほどで結果がでます。
レントゲン検査を行います。動物種・体重・撮影箇所を選択します。
レントゲンは基本的に胸部2~3枚、腹部2~3枚撮影します。
次に第1診察室でエコー検査(超音波検査)を行います。
マットの上に仰向けになって寝てもらい、可能ならばお腹の毛を悌毛させて頂いております。
この子も力を抜いておとなしくしてくれていたので、負担なく検査することができました。
超音波検査では、肝臓→脾臓→左腎臓→左副腎→膀胱→腰下リンパ節→子宮または精巣→右腎臓→右副腎→胃→小腸→膵臓→大腸→心臓の順にみていきます。このように毎回検査する臓器を順番で決めておくことによって、検査のやり忘れがなくなるため、私はこの順に検査しています。
【肝臓】
最後に今回の検査結果・問題点・今後の方向性などをまとめ、「わんにゃんドック結果報告書」としてファイリングしてお渡ししております。その日の混雑の状況にもよりますが、退院は大体6時頃になります。
これだけ多くの検査をしますと相当時間がかかります。一気に全部検査を終わらせようとすると、わんちゃん・ねこちゃんが疲れてしまうため、検査→お休み→検査→お休みと、検査の間にお休みをいれてできるだけ体に負担がかからないように注意しております。
これら多数の検査をセットにすることで、全身を系統だってみることができ、病気の検出率が高くなります。また、それぞれ別に検査するよりも費用はかなりお安くなっております。(わんにゃんドックの費用:15000円(20kg未満)・17000円(20kg以上))(1つ1つ検査をしますと約25000~30000円前後の費用がかかります。)
若いうちから系統だった検査をして健康な時の血液の数値などを把握しておけば、今後、体調を悪くした時に比較する事ができ、とても参考になります。
もし興味がございましたら、一度ご相談ください。
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消化管・膵臓の超音波診断
9月29日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「消化管・膵臓の超音波診断」についての講義に参加してまいりました。
以前も消化管(胃・腸)・膵臓の超音波検査についてお話させて頂いた事がありますが、嘔吐・下痢などの消化器疾患の診断では画像診断が非常に重要になります。
私も以前は「消化管はガスを多量に含んでいるため、超音波でみてもよくわからない」という先入観がありましたが、絶食をしてもらい、性能の良い超音波診断装置を用いることによって、X線や内視鏡検査では得られない消化管壁の厚さや消化管の運動性、他臓器の異常などを確認できるようになりました。
【当院の超音波診断装置】
第1診察室にあります。検査前にお腹の毛を悌毛することをお勧めしております。(お腹の中の臓器が断然みやすくなります)
嘔吐や下痢などの消化器症状が続くわんちゃん・ねこちゃんは、超音波検査を受けることをお勧めしております。
最近寒くなってきましたが、ハリー君は今日も快便です。
私はストレス・食べ過ぎですぐにお腹をこわすので、ハリー君がうらやましいです。
2010年10月05日(火) 投稿者 hagiwara | 勉強会, 消化器疾患, 画像診断, 立川市マミー動物病院・設備