勉強会 記事一覧
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スケーリング(歯石除去)
昨夜は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「予防歯科」についての講義に参加してまいりました。
前回の歯周病の講義の続きでした。今回は予防歯科の1つである「スケーリング(歯石除去)」についてお話させて頂きます。
<スケーリング(歯石除去)>
超音波スケーラーを用い、歯肉縁上・歯肉縁下の歯面からプラークと歯石を除去することです。
【当院で使用している超音波スケーラー】
スイッチをおすとチップの先端が震動し歯石を除去します。また先端からは水が霧のようにでて汚れを洗浄し、歯とチップの冷却を行っています。
<ポリッシング>
スケーリングを行った後の歯面は細かく不正な凹凸があるので、研磨剤をつけて歯の表面をツルツルに磨かなければなりません。これをポリッシングといいます。当院ではスケーリングの後には必ず行っております。行わないと歯面が粗いままになってしまいプラークや歯石が再付着しやすくなります。
【当院で使用している研磨剤】
無麻酔下で鉗子などで歯石をバキッと取るだけではその歯の表面にはまだプラークと歯石が粗く残って、歯石が再付着しやすく、歯周ポケット内の歯石までは完全に除去することはできません。歯周ポケット内の歯石をそのままにすると歯周病が悪化します。よって、全身麻酔下にて丁寧にスケーリングする必要があります。
全身麻酔を心配される方が多いですが、術前に各種検査を行い、基礎疾患がないか確認し、安全性が高い麻酔を用い、麻酔中は麻酔モニターで心拍数・呼吸数・血圧・酸素飽和度(spO2)・CO2・体温などを各種モニターしながら行っておりますので、昔に比べたら安全性は高くなってきています。
【当院の麻酔モニター】
「最近口臭がする」「歯石がついてきた」「歯肉が赤い」「食べる時痛そう」などの症状がみられた場合はすでに歯周病かもしれませんので、一度ご相談ください。(歯周病についての詳しい説明はこちらになります)
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骨肉腫
こんにちは。獣医師の萩原です。7月10日(土)11日(日)はお休みを頂き、日本獣医がん学会に参加してまいりました。がん学会は1年に2回、夏は神奈川、冬は大阪で開催され、できる限り参加するようにしています。今回のメインテーマは「骨腫瘍」でした。今回は骨腫瘍の中でも最も多い腫瘍である「骨肉腫」についてご説明させて頂きます。
【骨肉腫】
わんちゃんの骨肉腫は大型犬の前肢に多発し(後肢の約2倍)、橈骨遠位端と上腕骨近位端が2大好発部位とされています。
遠隔転移率が高く、断脚術のみでの術後生存期間中央値は4ヶ月、1年生存率は10%と極めて低いといわれています。
【わんちゃんの骨肉腫】
<発生率>
全腫瘍中2~7%(骨格腫瘍の85%)
<発生年齢>
2歳と7歳(二相性の発生ピーク)(18~24ヶ月齢→15%)
<好発犬種>
大型犬(体重10kg以下は5%未満)
<性差>
なし
<発生因子>
外傷性・遺伝性など
<好発部位>
体軸(25%)(下顎>上顎>脊椎>頭蓋骨>肋骨>他)
四肢(75%)骨幹端>骨幹
2/3が前肢→橈骨遠位・上腕骨近位に多い
1/3が後肢→大腿骨遠位・脛骨近位に多い
<発生状況>
局所侵襲性が強い
リンパ節浸潤はまれ
遠隔転移性が強い
90%以上が初診時に微細転移巣があるといわれている。
関節を超えることまれ
<予後>
断脚術のみ→中央生存期間110日(4ヶ月)・1年生存率10%
断脚術+抗がん剤→中央生存期間6ヶ月~1年・1年生存率50%
【猫ちゃんの骨肉腫】
<発生率>
非常にまれ
<好発年齢>
10.2歳
<発生部位>
前肢<後肢(前肢の2倍)
体軸骨<長骨(体軸の2倍)
<発生状況>
80~90%が悪性腫瘍
犬より低侵襲性・低転移性
<予後>
断脚のみで中央生存期間2年
<性差>
なし
四肢の骨肉腫に対する断脚手術は根治目的以外に残された期間の生命の質を改善する対症治療としての意義も高く、骨肉腫の患肢を放置した場合には、腫瘍による自潰・腫脹・疼痛など飼い主様が見ていられない状態に陥ることが少なくありません。
足を取ってしまうのは残酷なようにみえるかもしれませんが、腫瘍の足を残すことによって自潰、疼痛がひどくなり、苦しむことになるので、わんちゃんにとっては足がない方が快適に過ごせます。私自身、骨肉腫で断脚した子を何例もみていますが、3本足でも上手に歩けるようになることがほとんどです。
骨肉腫の臨床症状は患肢跛行・患部の熱感・急速な患部腫脹・硬固な腫瘤・激しい疼痛などになります。このような症状がみられた場合はお早めにご相談ください。
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マラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)
6月30日(水)の休診日は「マラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)」についての勉強会に参加してまいりました。マラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)は梅雨時に多い皮膚病の1つです。
【マラセチア性皮膚炎(脂漏性皮膚炎)】
*マラセチアとは*
マラセチアは真菌(カビ)の一種で、全てのわんちゃんの皮膚に住んでいる「常在菌」です。健康な皮膚では問題になることはありませんが、何らかの理由で皮脂の分泌が増えすぎたり(脂漏)、アトピーや他の皮膚炎などで皮膚の抵抗力が落ちると異常増殖し、皮膚炎を悪化させます。マラセチアは皮脂分を好み、皮脂のたまりやすいわきの下、内股、指の間、耳、お腹、下あご、肛門の周りなどで増殖して炎症・痒みを発症します。(よってマラセチア性皮膚炎は脂漏性皮膚炎ともよばれています)スタフィロコッカス(ブドウ球菌)という細菌がマラセチア性皮膚炎を悪化させる要因の1つとも考えられています。
*症状*
強い赤み、痒みが特徴で、ベタベタしたり、独特の臭いがする脂っぽいフケを伴います。慢性化すると皮膚が黒ずんだり(色素沈着)、表面にコケが生えたようになったり(苔癬化)、毛が抜けたりする場合があります。
*好発犬種*
シーズー・ダックスフンド・プードル・マルチーズ・チワワ・コーギー・ポメラニアン・パグ・フレンチブルドック・ビーグル・ゴールデンレトリーバー・キャバリア・柴犬など
*治療*
異常増殖したマラセチアは放っておくと、皮脂分を栄養にしてさらに増え続け皮膚炎が悪化します。治療は①抗真菌剤の投与(内服薬)と②外用療法(主にシャンプー)で、増えすぎたマラセチア菌を減らし、過剰に分泌された皮脂分を取り除きます。
【実際の症例】
ミニチュア・ダックスフンド・9歳・避妊メス
この子は典型的なマラセチア性皮膚炎のわんちゃんです。「皮膚の痒み・脱毛・発赤・べたつき・フケ」を主訴に来院されました。皮膚検査にて全身性にマラセチアが増殖しているのが判明したため「マラセチア性皮膚炎」と診断しました。抗真菌剤の投与とシャンプー療法を行ったところ、皮膚炎は落ち着きました。
【マラセチア性皮膚炎シャンプー:マラセブシャンプー】
マラセブシャンプーはマラセチア性皮膚炎に非常に効果のあるシャンプーなのですが、つい最近まで日本で販売しておらず、海外でしか購入できませんでした。よって獣医師は海外から輸入したり、ヒト用のマラセチア用のシャンプーを使用していました。
マラセブシャンプーにはマラセチアを殺す作用がある「ミコナゾール硝酸塩」とスタフィロコッカス(ブドウ球菌)を殺す作用がある「クロルヘキシジングルコン酸塩」を含有しており、皮膚の上で増えすぎた菌を減らします。また洗浄成分を配合しているので余分な皮脂分や汚れを洗い流します。
マラセブシャンプーはお薬を含有していますので、10分間皮膚につけた状態で保つことが重要です。10分間何もしないで待つのは大変ですが、症状の重いところから洗いはじめればあっという間に10分たつと思います。
*使用量*:以下のようになります。
体重
1回当たりの投与量
1.5~3kg未満
5~10ml
3~5kg未満
10~15ml
5~10kg未満
15~25ml
10~15kg未満
25~30ml
15~20kg未満
30~40ml
20~30kg未満
40~50ml
30~40kg未満
50~60ml
40~50kg未満
60~70ml
手のひらに500円玉1枚分のシャンプーをたらすと約1mlになるそうです。いちいち量るのは大変なので、これをもとに計算すると楽ですね。
マラセブシャンプーの説明はこちらになります。
マラセブシャンプーの宣伝みたいになってしまいましたが、このシャンプーが日本で発売されるのを待ち望んでいましたので大変ありがたいと思っています。今後、マラセチア性皮膚炎で困っている子にお勧めしたいと思っています。
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湿潤療法(うるおい療法)
昨日は診察終了後、「湿潤療法(うるおい療法)」に関するセミナーに参加してまいりました。講師は人間のお医者様で、その分野に関しては有名な先生です。(先生のホームページはこちらになります)聴講者の大半が医師でしたが、当院でもケガをしたわんちゃん・ねこちゃんが多く来院されますので何か参考になることがあればと思い、院長と一緒に参加してきました。
以前にも「湿潤療法」についてお話ししたことがありますが、湿潤環境下では肉芽の増生が非常に早いため、最近では創傷治療には湿潤環境が適していることがわかってきました。
少し前までは創面にはガーゼをあて乾燥させるのが一般的な治療法でしたが、現在ではガーゼを張って剥がすと傷が深くなり余計悪化させてしまうため、傷口にはガーゼをあててはいけないといわれています。昔は「傷は乾かして治す」のが一般的でしたが、今では「傷は乾かすと治りにくい」のが一般的になっているのです。
今回はガーゼに変わって新しく開発された創傷被覆材(創面にあてるもの)についての説明もありました。
創傷被覆材は、「①創面に固着しないこと ②創面を乾かさないこと ③ある程度、吸水力があること」が重要であるといわれています。様々な会社から様々な創傷被覆材が販売されています。しかし、創傷被覆材は毎日交換することが多いため、あまり高価なものは使用しにくいのが現実です。簡単にできる創傷被覆材として、紙おむつや母乳パッドに穴あきポリ袋をつける方法があります。これは安価で創面にも固着せず使いやすいです。
私も幼い時にストーブの上に座ってしまい、太ももに大やけどをしてしまったことがあります。その頃は「やけどは消毒してガーゼをあてる」のが一般的な治療法だったので、毎日のようにお医者さんに通い、ガーゼ交換をしてもらっていました。ガーゼを創面にあてると乾燥するので、剥がす時に痂皮などがとれて血がでてしまい、随分痛くて辛い思いをしました。また、治癒までかなり時間がかかりました。その頃、もう少し医療が進歩していたら痛い思いをせず、もっと早く治っていたのにと思います。
ケガで来院されたわんちゃん・ねこちゃんに対してはできるだけ痛みを与えることなく、できるだけ早く治してあげることができるように、日々、創傷治療についての勉強を続けていこうと思っています。
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歯周病
6月23日は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「歯周病」についての講義に参加してまいりました。
今回はわんちゃん・ねこちゃんに非常に多い病気の1つである「歯周病」についてお話させて頂きます。
まず、歯周病の原因であるプラーク(歯垢)や歯石がどのようにしてできるかをご説明させて頂きます。
【プラーク・歯石の形成】
①ペリクル(薄い被膜)
はじめに唾液中の粘りの成分である糖と蛋白が歯の表面にペリクルをつくります。ペリクルはブラッシング後、約20分ですでに形成されています。
②プラーク(歯垢)
ペリクルに口腔内細菌が付着・繁殖して6~24時間でプラーク(歯垢)を形成します。プラークは細菌と細菌副産物からなり、これらが主に歯周病の原因物質といえます。プラークは軟らかく、ブラッシング等で簡単に除去できます。
③歯石
唾液中のカルシウム・リンなどのミネラルがプラーク内に沈着し、石灰化し歯石を形成します。犬ではヒトより5倍早く、約3~5日で歯石は形成されます。
【歯周病について】
主にプラーク中の嫌気性菌が炎症性物質や破壊酵素を放出し、歯根膜や歯槽骨を破壊することによって歯周病がおこります。
歯周病による歯周組織の破壊や歯の動揺に伴い、歯肉や歯槽骨の疼痛がみられ、採食時、痛そうにしたり、口を気にしたりします。歯槽骨の吸収が進めば、顔面の変形・歯根膿瘍・顎の病的骨折を起こしやすくなります。また隣接する鼻腔や眼窩へ影響が及び、口鼻ろう孔(口と鼻の穴がつながってしまう)などがみられるようになります。
また、局所の問題だけではなく、歯周病菌が骨髄炎を起こし、さらには全身に敗血症をもたらす可能性もあります。
【予防】
歯周疾患の予防にはブラッシングが基本です。ブラッシング以外(デンタルジェル・おもちゃなど)は補助的なものになります。ブラッシングをする時には歯の表面を集中的に磨くのではなく、歯と歯肉の間(歯肉溝)のプラークを除去するようにして下さい。歯ブラシは柔らかくヘッドの小さいものがよいです。わんちゃんやねこちゃん専用のものも市販されています。歯石が形成されるまでは約3日かかりますので、実際には3日に一度でも維持可能ですが、毎食後ブラッシングするのがよいといわれています。
【わんちゃん専用の歯ブラシ】
歯磨きの仕方:こちら(ビルバック社のホームページ)やこちら(以前、大澤さんが書いたブログ)をご覧下さい。
「最近口臭がする」「歯石がついてきた」「歯肉が赤い」「食べる時痛そう」などの症状がみられた場合はすでに歯周病かもしれませんので、一度ご相談ください。
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難治性下痢
こんにちは。獣医師の萩原です。5月23日(日)は診察が終わってから「難治性下痢」についての勉強会に参加してまいりました。
下痢はわんちゃん・ねこちゃんともに来院理由として最も多い病気の1つです。
一般的に下痢をしている子全員に多くの検査が必要になるわけではありません。対症療法(止瀉剤・整腸剤・抗菌薬など)で短期間のうちに症状が消失すれば必ずしも精査は必要ではありません。実際、下痢で来院されるほとんどの子は対症療法で治ることが多いです。
しかし、対症療法を行っても下痢が完全に良化せず慢性化してしまった場合(3週間以上)には、慢性疾患が存在する可能性があるため精査を考慮します。また下痢以外の症状(体重減少・食欲低下・嘔吐など)が重度に認められる場合には時間的な余裕があまりないと考え、精査を急ぎます。
今回は慢性下痢の原因として多い疾患(細菌性腸炎・消化器型リンパ腫・リンパ管拡張症・大腸炎症性ポリープ・炎症性腸疾患・過敏性腸症候群など)の診断・治療法についての講義を聴き、新たな発見があり勉強になりました。
【実家の愛犬ゴンちゃん(12歳・柴犬】】

ゴンちゃんも今まで何度か下痢をしたことがありますが、全て対症療法で良くなりました。私も獣医師になりたての頃、原因不明の下痢が約1ヶ月間続き、8kgくらい痩せたことがあります。精査をしましたが、特に異常はみられず、過敏性腸症候群(ストレス)ではないかと言われました。(その後すぐにリバウンドで太ってしまい、以前より体重は重くなってしまいました・・・)
わんちゃん・ねこちゃんもストレスで下痢をすることがあります。下痢をした時にはまずは何かストレスになること(環境・気温・食事の変化など)がなかったか思い返して頂ければと思います。 -
猫のウィルス感染症(猫ウィルス性鼻気管炎・猫カリシウィルス感染症・猫汎白血球減少症・猫白血病ウィルス感染症)
昨夜は東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「猫の感染症」についての講義に参加してまいりました。
今回は主に混合ワクチンに入っている以下の4つのウィルス感染症についてご説明させて頂きます。
①【猫ウィルス性鼻気管炎(FVR)】
ヘルペスウィルスによる感染症で、ひどいくしゃみ、咳、鼻炎などの呼吸器症状の他、結膜炎などをひき起こします。高熱によって食欲はなくなり鼻水と涙で顔中クシャクシャになり典型的なカゼ症状がみられます。
*感染源:感染猫の涙・唾液・鼻汁
*感染経路:接触感染・人間の手
*潜伏期:3~4日
*症状:急性のくしゃみ・眼鼻分泌液など(発症から3~4日(感染後6~8日)で症状が最高になる)細菌感染の合併がなければ急性経過で終了。終結後、神経節に潜伏しストレスなどにより発症することがある。
*診断:臨床症状
*治療:インターフェロン・抗生物質②【猫カリシウィルス感染症】
かかりはじめの症状はくしゃみ、鼻水、発熱などで、猫ウィルス性鼻気管炎に似ています。症状が進むと口の周辺に潰瘍ができることもあり、急性の肺炎を起こして死亡することもあります。
*感染源:感染猫の涙・唾液・鼻汁
*感染経路:接触感染・人間の手
*潜伏期:約3日
*症状
①上部気道型 ②潰瘍形成型 ③肺炎型 ④腸管感染型 ⑤子猫跛行症候群 ⑥流産 終結後口峡部に持続感染をおこす。
*診断:臨床症状
*治療:インターフェロン・抗生物質③【猫汎白血球減少症】
パルボウィルスによる感染症で、白血球が極端に少なくなる病気です。高熱、嘔吐、食欲不振・下痢などを引き起こします。体力のない子猫などはたった1日で死亡することもある恐ろしい病気です。
*感染源:感染猫の便
*感染経路:接触感染・人間の手・経鼻・経結膜・経口
*潜伏期:2~10日
*臨床徴候:最初の徴候は発熱(40℃以上)・白血球数は4日までに4000/μl以下に下降・嘔吐・下痢・妊娠の最後の1週または生後9週までに感染した子猫は小脳の形成不全に起因する運動失調をおこす。
*診断:臨床症状・白血球減少・抗原検査キット・PCR
*治療:インターフェロン・抗生物質④【猫白血病ウィルス感染症】
白血病やリンパ腫など血液の腫瘍、貧血、腎炎・流産などをおこします。病気に対する免疫が弱まるため、様々な病気を併発しやすくなります。感染してから発病までの期間が長く、その間は見かけ上健康にみえます。
*感染源:感染猫の血液・唾液・尿・便など。
*感染経路:猫同士の長期にわたる濃厚な接触があると感染しやすい。母子感染。
*併発しやすい病気
骨髄の腫瘍性疾患・骨髄低形成疾患・骨髄異形性症候群・リンパ系腫瘍・貧血・汎白血球減少症様症候群・雌猫の繁殖障害・神経ならびに運動器疾患・二次感染症あるいは日和見感染症・免疫介在性血球減少症・糸球体腎炎など
*診断:ELISA(院内で検査可能)
*予後:感染猫の致死率は6ヶ月間で30%、2年間で60%、4年間で90%との報告がある。3種ワクチンでは①②③を、4種ワクチンでは①②③④を予防します。
①と②は猫のカゼの代表で、ワクチンを接種しても完全に防御できる訳ではありませんが、接種していれば感染しても軽い症状ですむ事が多いです。生活環境などを考慮して、どちらのワクチンを接種するかご相談させて頂いております。
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iVEAT腹部超音波研修の試験に合格しました
ご報告が遅れましたが、iVEAT(獣医教育・先端技術研究所)が主催する腹部エコー研修の試験に合格し、修了書をもらいました。
10月~3月にかけ、研修に参加し、最後に筆記試験、実技試験をうけました。
みなさんのわんちゃん・ねこちゃんにその技術を還元できればと思っています。 -
急性嘔吐
4月11日(日)は消化器疾患についての講義に参加してまいりました。
下痢・嘔吐などの消化器疾患は、わんちゃん・ねこちゃんともに多い病気の1つになります。今回は急性嘔吐についてお話しさせて頂きます。急性嘔吐は不適切な食事や異物摂取など原因が特定できることもありますが、一般的な検査で原因が特定できないことも非常に多いです。原因が特定できない急性嘔吐の場合には、まずは対症療法を行うことになります。急性嘔吐の対症療法としては12~24時間の絶食、水分および電解質の補充、制吐薬や消化管運動機能改善薬の投与などを考慮します。
急性胃炎のきっかけとしては個人的には季節の変わり目やいつもと違うフードの給餌、ストレスがかかるような出来事がある時に多いと感じています。嘔吐とともに下痢をおこす子もいます。突然の嘔吐で動揺してしまう飼い主さんも多いですが、その際はお早めにご連絡ください。また、診断の助けとなりますので来院時には吐いた物と便(下痢の時)を御持参いただければと思います。
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てんかん
3月17日(水)は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「反復性発作の診断と治療」についての講義に参加してまいりました。「反復性発作」の中でわんちゃん・ねこちゃんに多い代表的な病気は「てんかん」です。今回は「てんかん」についてお話させて頂きます。
【てんかんの分類】
「てんかん」は病因によって「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分類されます。「特発性てんかん」とは脳に器質的病変が存在せず、発作を起こす原因が遺伝的素因以外に認められないてんかんを指します。一般に発作がみられない時には脳波検査以外の臨床検査で異常所見が認められません。初発発作の発症年齢は1~3歳で最も多いです。わんちゃんに多く猫ちゃんでは比較的まれです。
「症候性てんかん」とは脳に発作の原因となる器質的病変が認められるてんかんのことで、脳腫瘍や脳炎、脳奇形(水頭症など)、脳血管障害などにより発作が反復する場合を指します。発作以外に神経学的検査で異常所見が得られることが多いです。発症年齢は原因疾患により様々です。(例えば脳腫瘍であれば7歳以上、水頭症であれば1歳未満に多いです)猫ちゃんでは症候性てんかんであることが多いです。
一般にわんちゃんでは約6~7割が「特発性」、猫ちゃんでは約6~7割が「症候性」であるといわれています。
【発生率】
わんちゃんはおおよそ1~2%、猫ちゃんでは0.5%程度と報告されています。【診断】
問診、一般身体検査、臨床検査(血液検査、レントゲン検査、超音波検査など)、神経学的検査を行うことによって特発性てんかんまたは症候性てんかんの鑑別を行います。
ここで特発性てんかんをより確定的にするため、あるいは症候性てんかんの原因を見出すために追加検査へ進む場合があります。追加検査として脳波、MRI検査、脳脊髄液検査などがあります。【治療】
一般的な治療法は抗てんかん薬を用いた内科的療法になります。
抗てんかん薬は一般的に「3ヶ月に2回以上の発作がみられる場合」「発作が群発(短時間に連続する発作(24時間以内に2回以上))あるいは重積(てんかん発作が30分以上持続している状態)する場合」「症候性てんかんが明らかな場合」に開始いたします。
最初は1種類の抗てんかん薬から開始し、1種類では良好なコントロールが得られない場合には2種類以上のお薬を併用していきます。副作用がみられる場合もあるため、1年に2回は血液検査をすることをお勧めします。特発性てんかんでは一生涯治療が必要になることが多く、発作をいかにコントロールし、生活の質を維持していくかが治療の目標になります。一般に治療開始前の発作頻度にくらべ治療開始後の発作頻度が50%以下となることを目指します。抗てんかん薬による治療を行っていても、発作を100%抑制することができるケースはきわめてまれで、たいていの動物は治療を行っていてもいくらかの発作を示します。「てんかんは基本的に完治する病気ではない」こと、「治療を行っていても発作は出る」ことをあらかじめ認識しておく必要があります。また、抗てんかん薬を飲ませ忘れたり休薬した場合、一種の禁断症状がみられ発作がおきやすくなってしまうことがあるため、絶対に行ってはいけません。
てんかん患者のうち20~30%の症例は抗てんかん薬を用いても良好な発作コントロールができず、難治性てんかんと呼ばれます。逆に言うと70~80%の患者は適切な抗てんかん薬により発作をコントロールできます。
もうすぐで開業して1年がたちますが、当院でもてんかんをお薬でコントロールしているわんちゃんが何頭かいらっしゃいます。発作を完全には抑えることは難しいですが、少しでも生活の質をあげるお手伝いができればと思っております。
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腹部超音波研修6回目~眼・甲状腺・腱の超音波検査~
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皮膚形成外科
本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「皮膚形成外科」についての講義に参加してまいりました。
「動物の皮膚形成外科」とは主に外傷、熱傷、交通事故、術創離解、腫瘍摘出後などによる大幅な皮膚欠損を手術で治すことを指します。広範囲の皮膚がなくなると、そのままでは皮膚同士を縫合できなくなってしまいます。そのため、皮膚を別の場所から引っ張ってきたり(フラップ(皮弁)形成)、皮膚を別の場所から切除して移植(Skin graft・皮膚移植)します。今回はその方法についての講義でした。
一般診療においても特に猫ちゃんのケンカによる外傷や大きな腫瘍を摘出した後に皮膚が欠損してしまうことがあるので、実践的で勉強になりました。
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猫のフィラリア症
本日は猫のフィラリア症についての院内セミナーを開きました。
フィラリアはわんちゃんの病気としてよく知られていますが、猫ちゃんにも感染します。呼吸困難、咳や嘔吐が主な症状で、放置すると突然死を引き起こすこともあります。わんちゃんのように診断や治療が確立されていないので、予防が重要です。蚊が媒介するので、室内飼いの猫ちゃんも油断できません。
今回のセミナーで一番驚いたことは、1997年の報告では日本の猫ちゃんの12%がフィラリアに感染しているそうです。
一番の予防方法は蚊に刺されないことですが、ふつうの生活で全く蚊に刺されないことは困難です。当院では猫ちゃんのフィラリア予防薬を揃えておりますので、猫ちゃんを飼われている方は、ぜひご相談ください。
予防期間は毎年5月~12月になります。
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ステロイド
本日は診察終了後、「ステロイド」についてのセミナーに参加してまいりました。
医療現場で使用する「ステロイド」とは一般的に「副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド)」を指します。抗炎症作用や免疫抑制作用などを期待して使用します。
ステロイドは皮膚疾患をはじめ、眼疾患、血液・骨髄疾患、消化器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、泌尿器疾患、整形疾患、神経疾患、歯科疾患、腫瘍などあらゆる分野で使用されています。
副作用は短期に使用した場合は多飲多尿、多食など、長期に使用した場合は医原性クッシング症候群、糖尿病、膵炎、消化管潰瘍、感染症にかかりやすくなるなどの副作用がみられることがあります。当院で使用しているステロイドが入ったお薬を集めてみました。探せばもっとあるかもしれません。注射液、錠剤、点眼剤、軟膏、クリーム、噴霧剤など様々な種類があります。
また、効果の持続時間や強さによって、お薬を使い分けています。「ステロイド」というと、皆さん、怖いイメージを抱かれる方が多いと思いますが、量を守って短期間の使用であればそこまで強い副作用はなく、効果が期待できるお薬になります。
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わんちゃんの痴呆
こんにちは。獣医師の萩原です。本日は「子犬と老犬の問題行動」についてのセミナーに参加してまいりました。
わんちゃんの高齢化現象が進むとともに、高齢に伴う疾患が重要になりつつあります。その中でも飼い主さんの日常生活に多大な影響を与える疾患の1つが痴呆です。
今回は老犬の問題行動の1つである「痴呆」についてご説明させて頂こうと思います。【わんちゃんの痴呆について】
症状は大きな抑揚のない一本調子な鳴き声が続く、昼はほとんど寝ているのに夜起きだす(昼夜逆転)、夜中に放浪を始める、狭い所に入っては鳴く、トイレの失敗、といったものがあります。*下記のうち2項目以上当てはまる13歳以上のわんちゃんは痴呆の疑いがあります*
①夜中に意味もなく、単調な大きな声で鳴きだし制止できない。
②歩行は前にのみトボトボ歩き、円を描くように歩く。
③狭い所に入りたがり、自分で後退できないで鳴く。
④飼い主、自分の名前、習慣行動がわからなくなり、何事にも無反応。
⑤よく寝て、よく食べて、下痢もせず、痩せてくる。日本では痴呆犬の7割以上が柴犬および日本犬系雑種で占められているともいわれています。原因ははっきりわかっていません。
現在、痴呆自体を根治できる治療法はなく、治療は主に対症療法になります。例えば夜鳴いて眠らない時には、睡眠導入剤などを使用して睡眠を助けてあげます。また、痴呆のわんちゃん用のサプリメントや療法食もでています。
【実家の愛犬ゴンちゃん(12歳・柴犬)】
私が大学1年生の時に飼い始めました。
もうすぐ13歳になります。
13歳以上の柴犬といえば他の犬種に比べたら痴呆になる確率が高いですが、いつまでも元気でいてほしいです。ソファーがお気に入りです。
気持ち良さそうにねています。
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白内障
こんにちは。獣医師の萩原です。本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「視覚消失性疾患(失明)」についての講義に参加してまいりました。今回は「視覚消失性疾患(失明)」の1つである「白内障」についてご説明させて頂こうと思います。
【白内障について】
まず、正常な眼の模式図を下に示します。白内障とは「水晶体」の病気になります。
白内障は、蛋白の変性、線維の膨化等により水晶体が混濁(白濁)した状態で、進行すると視力に影響を与え、失明の原因にもなります。わんちゃんにも比較的高頻度にみられる疾患です。
これには先天性と後天性のものがあり、後天性の白内障として、発症した年齢により4歳以下で発症する若年性白内障、5~6歳になると発症する老年性白内障に分類されます。
また、白内障の進行の順に①初発白内障 ②未熟白内障 ③成熟白内障 ④過熟白内障に分けられます。
①初発白内障:水晶体の一部にわずかな混濁がみられるもの。ほとんど視覚には影響しない。
②未熟白内障:水晶体は膨張し、混濁はあるがまだ視覚があるもの。
③成熟白内障:水晶体が完全に白濁して視覚を失ったもの。
④過熟白内障:水晶体の硬度が増し、水分が減少して小さくなったものなど。【治療】
①内科療法
点眼などによって白内障の進行を阻止、遅延させるもので、治癒させるものではありません。【当院で使用しているライトクリーン(ピレノキシン)(犬老年性初発白内障進行防止剤)】
1日4~5回点眼します。
②外科療法
治癒させ、視力を回復させることが目的です。
超音波により水晶体を乳化・吸引し、眼内レンズを移植します。白内障の手術には特殊な機械・技術が必要になるため、ご希望があれば大学病院もしくは眼科専門の病院をご紹介させて頂きます。
今回は白内障の機械や手術の方法についての講義もありました。今は機械の性能が向上していて、成功率も高くなっているようです。高齢のわんちゃんで、「最近、眼が白く濁ってきた」ことを主訴に来院なさる方が増えてきています。実際診察してみると、白内障と見え方が似ている「核硬化症」という加齢に伴う生理的変化であることもあります。「核硬化症」によって生活に支障をきたすほどの視力障害をおこすことはないため、治療の対象にはなりません。
このような症状がみられましたら、お早めにご相談くださいね。
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腹部超音波研修5回目~胃・腸・膵臓の超音波検査~
こんにちは。獣医師の萩原です。2月10日(水)は院長と横浜で開催されているiVEAT 超音波研修に参加してまいりました。本日は胃・腸・膵臓についての研修でした。
【胃・腸】
食べ物は口から入った後、食道→胃(噴門→胃底部→胃体部→幽門)→小腸(十二指腸→空腸→回腸)→大腸(盲腸→結腸→直腸)へと流れていきます。
胃・腸の超音波検査では壁の肥厚の有無、構造の異常、異物・腫瘤・重責の有無、蠕動運動などに注目して観察します。
【胃・腸の壁の厚さ】
消化管
犬
猫
胃
6mm
4mm
十二指腸
5mm
4mm
空腸・回腸
4mm
3mm
結腸
2mm
1.5mm
上記の数値より壁が厚い場合、壁の肥厚とみなします。
【正常な十二指腸の超音波検査画像(犬)】
十二指腸の厚さは3.7mmです。正常は5mm以下なので正常になります。
【異常な回腸の超音波検査画像(猫)】
回腸の厚さは8.2mmです。正常は3mm以下なので、壁が厚いことがわかります。
手術で摘出したところ回腸腺癌でした。
【膵臓】
膵臓は異常がないと超音波検査では描出できないことが多いです。膵炎に罹患すると周囲の脂肪が高エコー(白くなる)になるため、観察しやすくなります。
消化管はガスを多量に含んでいる臓器であるため、超音波検査の前には絶食が必須になります。
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褥創(床ずれ)
本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの褥創についての講義に参加してまいりました。
褥創(床ずれ)は体の一部に「持続的な圧迫」が加わることで、その部分の皮膚や深部の組織の血行が阻害され、虚血性の壊死が生じることで引き起こされます。【褥創のできやすい部位】
横向きに寝たきりの場合には、肩関節、大腿骨の大転子、頬部(ピンクで塗った場所)に深い褥創が出来ます。また肘や膝、手首足首などの可動性のある関節突出部(緑で塗った場所)には摩擦により浅い褥創が出来ます。【褥創の管理方法】
褥創は「持続的な圧迫」が原因で生じるので、圧迫を解除することが重要です。*除圧について
低反発マットを使って圧迫を解除(除圧)します。昔はドーナツ型の褥創パッドを使用していましたが、今では褥創パッドの圧迫により褥創周囲の血行を悪化させ、より深い壊死や新たな褥創を作り出す危険性があるため、褥創に対して使うべきではないといわれています。*体位変換について
人の褥創対策では以前は2時間毎の体位変換が推奨されていましたが、最近では高機能マットなどによる除圧法の改善により、頻繁な体位変換は必要ないといわれています。体位変換により新たな褥創を作り出す危険性も指摘されています。動物の場合もマットによる除圧が適切にできている場合には体位変換は最小限で良いだろうといわれています。*創傷管理
消毒はせず、乾燥させず、創面とその周囲を清潔に保つ(褥創周囲の毛を刈り、生理食塩水または水で洗う)ことが重要です。昔は褥創の治療は、体位変換を頻繁に行い、褥創パッドを用い、消毒をして、ガーゼをあてて乾燥させるのが基本であり、今と真逆のことが行われてきました。医学も獣医学も昔は当然と思われていた治療法が、今になって否定されることがよくあります。日々進歩する獣医学を学び続けなければと思いました。
寝たきりで動けないことにより褥創が発生するので、再発を防ぐための一番の方法は寝たきりの状態を改善することです。しかし、寝たきりの子を活発に動かす事は困難であるため、褥創を根治させることは非常に難しいと言われていますが、なかには飼い主さんの努力によって治った子もいます。褥創でお困りの方はお気軽にご相談下さいね。
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試験開腹
本日は昼から東京都内で開催された試験開腹についての講義に参加してまいりました。試験開腹とは診断や治療を目的に行う開腹手術です。
【試験開腹の手順】
術前に出来る限り多くの情報を集めて手術の計画をたてるよう努めなければならないため、視診・触診・血液検査(CBC+生化学検査)・超音波検査・レントゲン検査・造影レントゲン検査・尿検査・便検査などの一通りの術前検査をおこないます。しこりがあった場合、その大きさ・位置・形・(可能ならしこりの種類)などを把握します。また同時に転移所見がないか、切除不能な所見はないか、手術に耐えられる体力があるかどうかを把握します。腹腔内臓器には胃・小腸(十二指腸・空腸・回腸)・大腸(盲腸・結腸・直腸)・肝臓・胆嚢・膵臓・副腎・腎臓・膀胱・卵巣/子宮(メス)などがあり、試験開腹によってこれら全ての臓器を確認します。臓器を視診や触診によって詳細に観察し、得られた所見に基づいて手術又は診断目的の生検をおこないます。
術前検査で大体病変がどこにあるか、どんな術式になるか予想はできますが、おなかの中は開腹してからではないと目視はできないため、絶対にそこだけに病変があると断言するのは危険です。予想していた場所とは異なる場所に病変があったり、病変が2箇所以上あることも考えられるからです。よって「病変が腸でこんな病変だったらこの術式。」「病変が肝臓だったら・・・」「病変が脾臓だったら・・・」とあらゆる腹腔内臓器に病変があっても対応ができるようイメージしておかなければいけません。
今回の講義は腹腔内臓器の正常像、手術の写真などたくさんみることができて勉強になりました。当院でもつい先日試験開腹をした症例がいたため、講義終了後に講義内容に関しての質問と症例の相談をさせて頂いたところ、詳しく答えてくださり大変ためになりました。
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腹部超音波研修4回目~膀胱・前立腺・腰下リンパ節の超音波検査~」
1月13日(水)、院長と二人で、横浜で開催されているiVEAT 超音波研修に参加してまいりました。本日は膀胱・前立腺・腰下リンパ節についての研修でした。
【膀胱】
膀胱は後腹部に存在する尿をためる臓器で、尿が貯留している時に検査するとわかりやすいです。レントゲン検査では膀胱の大きさ・形・位置・膀胱結石の有無(*レントゲン検査で診断できない膀胱結石もあります)などはわかりますが内部構造はわかりません。しかし超音波検査では膀胱粘膜の評価(厚み(←膀胱炎があると厚くなることが多いです)・内容物・腫瘍の有無など)やレントゲン検査で診断できない膀胱結石の有無を評価することができ、超音波検査に非常に適した臓器になります。エコーでは液体は黒くうつるので、膀胱内部は貯留している尿により黒くうつります。【正常な膀胱の超音波検査画像】
膀胱粘膜の厚さは1.9mmで(3mm以下なら正常です)、膀胱内には結石や腫瘍はなく正常です。
【前立腺について】
オスの膀胱の尾側から骨盤付近までの尿道を取り囲むように存在する臓器です。レントゲン検査では前立腺の大きさ・位置などはわかりますが内部構造はわかりません。しかし、超音波検査では嚢胞・膿瘍・腫瘍の有無など内部構造を評価することができます。【正常な前立腺の超音波検査画像】
【異常な前立腺の超音波検査画像】
前立腺内に嚢胞(黒いので中が液体です)がみられます。
【腰下リンパ節】
腰下リンパ節は膀胱背側の腹部大動脈や後大静脈の分岐部分に存在します。正常な腰下リンパ節はわかりにくいですが、腫瘍が腰下リンパ節に転移し大きくなってくるとわかりやすくなります。(腰下リンパ節に転移しやすい腫瘍には乳腺癌・リンパ腫・前立腺癌・肛門嚢アポクリン腺癌などがあります。)
【正常な腰下リンパ節の超音波検査画像】後大静脈の分岐部分には腫大した腰下リンパ節が存在しておらず、正常所見です。
超音波検査は体に負担がなく、安全に腹部臓器(肝臓・脾臓・腎臓・膀胱・腸など)や心臓の様子を診断できますので、病気の時はもちろん、健康診断にも優れている検査です。わんにゃんドック(健康診断)では超音波検査で一通り臓器をみて異常がないかを確認します。もし興味がございましたら、一度ご相談ください。 -
免疫介在性溶血性貧血 (IHA)
本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの免疫疾患についての講義に参加してまいりました。今回は免疫疾患の1つである免疫介在性溶血性貧血 (IHA)についてご説明させて頂こうと思います。
免疫介在性溶血性貧血 (IHA)はなんらかの原因により自己赤血球膜上の抗原に対する抗体が産生され、抗原抗体反応のために赤血球が障害を受け、血管内又は血管外溶血がおこり貧血をきたす病態です。自己免疫性溶血性貧血(AIHA)(薬物・感染・腫瘍などの原因がない場合)と続発性免疫介在性溶血性貧血(薬物性・感染性・腫瘍性などによっておこる)に分類されます。
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は中年のメスに多く、コッカースパニエル、プードル、オールドイングリッシュシープドック、シーズーなどに多いといわれています。猫では白血病ウィルスやエイズウィルスに関連しておこるものが多いといわれています。
溶血が急性で激しい場合には発熱、ヘモグロビン血症、ヘモグロビン尿、黄疸、嘔吐、脾腫、リンパ節の腫脹などがみられます。
血液検査では大球性低色素性貧血、赤血球大小不同、多染性赤血球増加などがみられ、球状赤血球、好中球増加がみられることもあります。
劇症例の致死率は80~90%ともいわれ、全般の致死率は38%といわれています。
治療は免疫抑制療法や輸血などになります。
貧血を主訴に来院される方は少なく、元気・食欲低下・嘔吐・血尿などを主訴に来院される事が多いです。人間では貧血になると顔がまっ白になってくることが多いですが、わんちゃんやねこちゃんには毛が生えていますので、貧血になっても外からではわかりにくいです。貧血の有無は可視粘膜の色でわかることが多いです。例えば、くちびるをめくって歯肉の色をみたり、結膜が白くないかを観察します。歯肉や結膜の正常な色がわかっていないと、正常より白いかどうかわかりにくいので、健康な時からよく観察してあげることが大切だと思います。【ハリー君の歯肉】
くちびるをめくって歯肉をみます。健康なピンク色です。【ハリー君の結膜】
あっかんべぇをして結膜をみます。健康なピンク色です。ハリー君の粘膜は健康なピンク色で、貧血はありません。
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わんちゃんのシャンプー
本日は製薬会社の方にシャンプーの院内セミナーを開催して頂きました。今回はシャンプーのお話をさせて頂こうと思います。
よくわんちゃんを人間用のシャンプーで洗ってもよいのでしょうかという質問をうけます。まずは人間とわんちゃんの皮膚の違いについてご説明させて頂きます。
人間の皮膚は弱酸性ですが、わんちゃんの皮膚は弱アルカリ性だといわれています。また、表皮(皮膚の一番上の層)は人間では10~15細胞層あるのですが、わんちゃんは3~5細胞層であり、人間に比べたら1/3しか厚みがないといわれています。
よく弱酸性のシャンプーやボディソープが宣伝されていますが、わんちゃんの皮膚は弱アルカリ性なので、人間用のシャンプーはわんちゃんに適しているとはいえません。わんちゃん専用のシャンプーや保湿剤を使用されることをお勧めします。現在、わんちゃんのシャンプーはたくさんの種類が販売されているため、どのシャンプーを使えばよいのか迷われてしまうかと思います。
まず、皮膚の状態が良いわんちゃんはペットショップ又は病院で市販されているシャンプーで問題がないかと思います。
しかし、皮膚のトラブルがおきやすい、もしくは今現在皮膚のトラブルがおこっているわんちゃんは一度受診されることをお勧めしています。
皮膚病は主にアレルギー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、感染性皮膚炎に分けられ、その症状にあったシャンプーを処方させて頂きます。【当院で使用しているシャンプー】
例えば、フケの多いわんちゃんには、まずフケがでる原因を調べます。フケがでる原因がみつかった場合はそちらの治療を行いつつ、過剰な角質や脂質を除去し、皮膚のターンオーバーを正常化させる効果があるシャンプーを使用します。
このように、シャンプーには人間と同様、洗浄を目的に使用する場合もありますが、皮膚病の外用療法として用いることがあります。
どのシャンプーを使用すれば良いか悩んでいらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談くださいね。 -
椎間板ヘルニア
本日は午前診療終了後、新宿で開催された「神経学的検査・脊髄疾患」の勉強会に参加してまいりました。今回は脊髄疾患の1つである「椎間板ヘルニア」についてご説明させて頂こうと思います。
背骨と背骨の間には椎間板といわれる物質が存在します。また、背骨の中には脊髄(神経)が存在します。椎間板ヘルニアとは椎間板の変性が生じ、椎間板が突出することによって脊髄を圧迫・傷害し、様々な神経症状を引き起こす疾患です。ダックスフンド(圧倒的に多いので要注意です!)、ビーグル、ウェルッシュ・コーギー、シーズー、プードルなどに多いといわれています。通常は頚部や背中に痛みが生じ、より重度になると歩行不全、排尿・排便困難、完全麻痺へと進行します。3~6%の症例では進行性脊髄軟化症(脊髄が尾側から頭側に向かって壊死し呼吸が停止してしまいます)を発症し、死亡してしまうこともあります。
診断はまず神経学的検査を行い、病気の進行度、病変の大まかな位置などを確認します。単純レントゲン検査では診断率は50%といわれており、確定診断には全身麻酔下での脊髄造影検査(脊髄に造影剤を流してからレントゲン撮影をする検査)、CT、MRI検査などが必要になります。症状によってグレード1~5に分類します。【椎間板ヘルニアのグレード分類】
グレードI:疼痛のみで神経症状がない
グレードII不全麻痺だが歩行可能
グレードIII:重度の不全麻痺(歩行・起立不可)
グレードIV:完全麻痺
グレードV:深部痛覚のない完全麻痺グレードが低い症例では内科療法(痛み止めのお薬などを内服し絶対安静)によって良くなることが多いといわれていますが、グレードが高くなるにつれて、特に4以上では内科療法では反応しないことが多く、その場合、手術で椎間板物質を摘出しなければなりません。しかし、手術をすれば絶対に治るというわけではなく、神経の炎症がひどい場合には良くならないこともあります。
突然発症することが多いので、驚いて来院される方が多い病気です。上記のような症状がみられましたら、お早めにご相談ください。 -
腹部超音波研修3回目~腎臓・副腎の超音波検査~」
12月10日(水)休診日、昼から院長と二人で、横浜で開催されているiVEAT 超音波研修に参加してまいりました。本日は腎臓と副腎についての研修でした。
【腎臓】
腎臓は腹腔内に左右1つずつある臓器で、レントゲン検査では大きさ・形・位置・腎結石の有無(*レントゲン検査で診断できない腎結石もあります)などはわかりますが内部構造はわかりません。しかし、超音波検査では内部構造・形・血流なども詳細に評価することができ、超音波検査に非常に適した臓器になります。【腎臓の超音波検査画像】
腎臓は皮質(超音波検査で白くみえる部分(高エコーといいます))と髄質(黒くみえる部分(低エコーといいます))があり、皮質と髄質の高さの比は通常1:1になります。皮質が高エコーの時は、糸球体腎炎・間質性腎炎・猫伝染性腹膜炎(FIP)・リンパ腫などが疑われます。他、水腎症、結石、嚢胞、腫瘤なども超音波検査で診断できます。
【副腎について】
副腎は腎臓の頭側に左右1つずつある臓器です。厚さは正常で6mm以下しかなく、レントゲン検査では評価ができません。副腎のサイズと形状の評価は主に副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)を診断する際に重要になり、診断には超音波検査が必須になります。
両側性に肥大している場合は下垂体性のクッシング症候群が疑われ、片側性に腫大し、形態が変化している時には副腎腫瘍が疑われます。【副腎の超音波検査画像】
超音波検査は体に負担がなく、安全に腹部臓器(肝臓・脾臓・腎臓・膀胱・腸など)や心臓の様子を診断できますので、病気の時はもちろん、健康診断にも優れている検査です。もし興味がございましたら、一度ご相談ください。
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乳腺腫瘍
本日は夜から東京都内で開催されている日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズに参加してまいりました。今回は先月受講した腫瘍学の続きで、肥満細胞腫、リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、乳腺腫瘍についての講義でした。今回は乳腺腫瘍についてご説明させて頂こうと思います。
乳腺腫瘍はわんちゃんとねこちゃんで全く挙動が違いますので別々にご説明させて頂きます。【わんちゃんの乳腺腫瘍について】
わんちゃんの乳腺腫瘍はメスの腫瘍としては最も多く(52%)、良性が50%、悪性が50%であり、約50%は多発性であるといわれています。ホルモン依存性腫瘍であり、早期に避妊手術することで予防する事ができる腫瘍です。【避妊手術による乳腺腫瘍の予防効果(犬)】
避妊手術の時期
予防効果
初回発情前
95.5%
1回発情後
92%
2回発情後
74%
2歳半以降
0%
治療は主に外科手術になり、悪性腫瘍で脈管内に腫瘍細胞が浸潤していた場合、切除辺縁に腫瘍細胞が存在していた場合、悪性度が高い場合などは化学療法を併用することがあります。
【ねこちゃんの乳腺腫瘍について】
ねこちゃんの乳腺腫瘍は10万頭中25頭にみられ、99%は未避妊雌であるといわれています。わんちゃんの乳腺腫瘍とは異なり、悪性が約90%であり、遠隔転移をしやすい腫瘍であるといわれています。【避妊手術による乳腺腫瘍の予防効果(猫)】
避妊手術の時期
予防効果
6ヶ月まで
91%
7~12ヶ月まで
86%
13~24ヶ月まで
11%
24ヶ月以上
0%
*よって1歳以内に避妊手術をすると、将来、乳腺腫瘍になるリスクが低くなります。
猫ちゃんの乳腺腫瘍はほとんどが悪性であるため、治療は原則、片側乳腺摘出術(片側の第1~4乳腺を全て摘出する手術)になります。ただし、年齢・全身状態などを考慮して、違う術式をご提案させて頂くこともあります。
わんちゃん・ねこちゃん共に早期に避妊手術をすることによって乳腺腫瘍をある程度予防することができます。私自身、今まで乳腺腫瘍になったわんちゃん・ねこちゃんを何頭も診させて頂いているため、すごく多い腫瘍だという認識があります。しかし、今回の講義で「アメリカではほとんどのわんちゃん・ねこちゃんは早期に避妊手術をしているため、乳腺腫瘍はなくなりつつある」と聞き、大変驚きました。
避妊手術は早期にすれば乳腺腫瘍の発生率を低下させる事ができ、また卵巣と子宮を摘出するので、今後、卵巣の病気(卵巣腫瘍・卵胞嚢腫など)や子宮の病気(子宮蓄膿症・子宮水腫など)にならない、発情がなくなり、管理が楽になるというメリットはありますが、麻酔リスク・太りやすくなるなどのデメリットもございます。避妊手術を考えていらっしゃる方はお気軽にご相談ください。

















































