循環器疾患 記事一覧
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心臓超音波実習に参加してまいりました
先日は心臓超音波実習に参加してまいりました。
現在、1ヵ月に1回、藤沢の日本大学動物病院で開催している心臓超音波実習に参加しています。この実習は3回コースなので、今回で最後になります。
今回はドプラで心臓内を流れる血液の流速を測定する実習でした。
当院は4月に新しい超音波診断装置にしたため、より正確に流速を測定できるようになりました。
心臓病を疑うわんちゃん・ねこちゃんでは、まずはX線(レントゲン)検査をお勧めしておりますが、心臓の超音波(エコー)検査も行うことにより、さらに正確な診断をくだすことができます。
今後もできるだけ正確に診断ができるように、知識・技術の習得ができるよう、積極的に実習や勉強会に参加していきたいと思います。
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心臓超音波実習に参加してまいりました
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心臓超音波実習に参加してまいりました
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心臓エコー検査実習2回目~左室内径短縮率(FS)・壁厚~
11月25日(日)は午前診療が終わってから心臓エコー検査実習を受けるために大阪の関西動物ハートセンターという心臓病専門病院に行ってきました。翌日は臨時休診とさせて頂き、皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
本日は左室内径短縮率(FS)と壁厚についてご説明致します。
【左室内径短縮率(FS)】
左心室の収縮機能を評価する指標
左心室の収縮機能が亢進していれば高値を示し、収縮機能が低下していれば低値を示す【壁厚(心室中隔壁厚または後壁壁厚)】
特に猫の肥大型心筋症を診断する際に重要になります。
正常猫:4mm
肥大型心筋症:6mm以上
肥大型心筋症(血栓症のリスクが高い):8mm以上
これらの値はX線検査では測定することができず、心臓エコー検査で測定することができます。
明日の午後からも実習を受けに行くため17日(月)は臨時休診となります。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
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大阪の心臓エコー検査実習に行ってきました
10月28日(日)は午前診療が終わってから、心臓エコー検査実習を受けるために大阪の関西動物ハートセンターという心臓病専門病院に行ってきました。翌日は臨時休診とさせて頂き、皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
以前も東京で心臓エコー実習を受けたことがあるのですが、さらにわかりやすそうな実習内容であったため今回院長と2人で受講することにしました。3名1組で実際にわんちゃんに超音波診断装置(エコー)をあて、心臓の描出方法をマスターするのが目的です。
この実習は10月・11月・12月にかけて計3回行われます。そのため11月・12月の下旬にも臨時休診を頂くことになりますが、よろしくお願いいたします。
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ピモベンダン(僧帽弁閉鎖不全症)
先週も日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの心臓病の講義に参加してまいりました。今回も「僧帽弁閉鎖不全症の診断・治療」についての講義でした。
今回は主にわんちゃんの僧帽弁閉鎖不全症の時に使用するお薬の1つである「ピモベンダン」についてご説明致します。
【ピモベンダン(商品名:ベトメディン)】
ピモベンダンとは主に僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病の症例に処方するお薬です。
投与によって血管拡張作用、強心作用、心拍数の適正化、抗不整脈作用などがみられます。
以前お話しした、ISACHC分類(心不全の機能分類)でクラスⅢa(重症心不全:安静時に咳)の症例において適応になります。
他の大体の心臓病薬との併用が可能で、副作用はほとんど認められません。私が獣医になったばかりの頃、ピモベンダンは人体薬で販売されていましたが高価で、動物用のものは販売されていませんでした。今は動物用のピモベンダンが販売されるようになり、気軽に処方できるようになりました。
今までは僧帽弁閉鎖不全症によって一度肺水腫(心不全により肺に水が貯まってしまう病態)になった症例は利尿剤を使い続けないと肺水腫をうまくコントロールできないことが多かったのですが、この薬が販売されるようになってからは多くの症例で利尿剤を休薬もしくは漸減できるようになりました。
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VHS(Vertebral Heart Size):胸骨心臓サイズ
先月末も院長と日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの心臓病の講義に参加してまいりました。今回は「僧帽弁閉鎖不全症の診断・治療」についての講義でした。
「僧帽弁閉鎖不全症」とは中高齢のわんちゃんに非常に多い心臓病の1つです。よって、至る所で頻繁に「僧帽弁閉鎖不全症」についてのセミナーが開催されています。知識をアップデートするためにできるだけ参加するよう心がけています。
この病気は進行するとX線検査や心臓エコー検査で心臓の拡大が認められます。今回はX線検査での心臓の拡大の評価方法の1つである「VHS」についてご説明致します。
【VHS(Vertebral Heart Size):胸骨心臓サイズ】
VHSとは胸部X線検査で心臓の拡大の程度を簡単に評価する方法です。
まず、心臓の長軸(赤線:L)を測定し、第4胸椎から椎骨何個分に相当するか測定します。次に心臓の短軸(青線:S)を測定し、第4胸椎から椎骨何個分に相当するか測定します。一般的にVHSが10.5以上であった場合は心臓の拡大が疑われ、さらに11.5以上であった場合は気道を圧迫している可能性が高いといわれています。
文章だけではわかりにくいですので、実際のX線をみながらご説明致します。
【症例1】
健康診断で来院したわんちゃんです。
この子は特に心雑音がなく、心臓病の症状は一切みられません。X線検査にて心臓の長軸を測定したところ椎骨6個分に相当し、短軸を測定したところ椎骨4個分に相当しました。よってVHSは6+4=10になります。
10.5以下であるため、X線検査では心臓の拡大は認められないということになります。念のため、心臓エコー検査をしたところ、やはり心臓の拡大は認められませんでした。【症例2】
心雑音があり、心臓病の症状(咳・呼吸速拍)がみられる症例のX線です。X線検査にて心臓の長軸を測定したところ椎骨6個分に相当し、短軸を測定したところ椎骨5.5個分に相当しました。よって、VHSは6+5.5=11.5になります。
10.5以上であるため、心臓の拡大が疑われます。また11.5以上であるため、気道を圧迫し咳がでている可能性が高いです。念のため、心臓エコー検査をしたところ、やはり心臓の拡大が認められました。VHSを測定することによって客観的に心臓の拡大の進行を判断することができるため、私は毎回測定するよう心がけております。さらにその後、心臓エコー検査にて心臓内腔の状態を観察することをお勧めしております。
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心臓病の講習会に行ってきました(僧帽弁閉鎖不全症)
先日は都内で開催された心臓病の講習会に参加してまいりました。
わんちゃんに多くみられる病気である「僧帽弁閉鎖不全症」の診断・治療のガイドラインについてのお話でした。診断後、どのくらい病気が進んでいるかステージ分類を行い、それに基づいて薬を処方するという内容でした。初めて聞く内容もあり勉強になりました。
【ピョンピョン(ミニウサギ)・去勢雄・10歳】
10歳のおじいさんウサギですが、動きはとても若々しいです。
ウサギは年をとってもみためはさほど老けないな~と思います。うらやましいです。
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先天性心疾患
9月29日(木)は以前、告知しましたように、診察を午後5時半までに短縮して日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「先天性心疾患」についての講義に参加してまいりました。
【わんちゃんの代表的な先天性心疾患】
①動脈管開存症(PDA)
わんちゃんで最も多発する心疾患です。出生後に動脈管の閉鎖が起こらず、下行大動脈と主肺動脈の間に血液の短絡を生じます。病態は初期・中期・末期にわけられ、初期には症状がみられませんが、最終的に両心不全に移行します。
②大動脈弁狭窄症(AS)
一般的に大型犬にみられる先天性心疾患です。三大徴候は低血圧・失神・突然死であるといわれています。
③肺動脈弁狭窄症(PS)
動脈管開存症に次いで犬に多発する先天性心疾患で、頻呼吸など肺炎に類似した症状が認められるともいわれています。
上記の先天性心疾患は初期のうちは症状がほとんど認められないため、ワクチンなどで病院に来院された時にたまたまみつかることが多いです。特に動脈管開存症においては早期に発見出来れば手術適応になりますが、末期では手術不適応となります。心臓病を早期に発見できるように、診察時は聴診するよう心がけております。
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聴診
5月26日(木)は以前、告知しましたように、診察を午後6時までに短縮して院長と二人で日本臨床獣医学フォーラム・東京レクチャーシリーズの「聴診」についての講義に参加してまいりました。
【聴診】
私たちは診察時必ずといっていいほど聴診器で聴診しますが、主に心音と呼吸音を聴いています。
心音は特に①心拍数②リズム(不整脈の有無)③雑音の有無に注意して聴診します。
呼吸音は特に呼吸数とラッセル音(肺炎や肺水腫など呼吸器疾患の時にでる音)に注意して聴診します。
当院にある聴診器をいろいろ集めてみましたのでご紹介致します。
【リットマンクラシックⅡ S.E.(一般診療用聴診器)】
最も一般的な聴診器で、私が学生の時に購入しました。
学生や新人獣医師はまずこの聴診器を購入する人が多いです。
「リットマン」とは獣医の中で最も人気がある海外メーカーの名前になります。
チューブには様々な色があります。
【リットマンカーディオロジーS.T.C.】
こちらは心臓病診療に特化した聴診器です。
【ステレオ・フォネット】
国産のステレオ聴診器になります。私が勤務医3年目の時に購入しました。当初、聴診に自信がなく悩んでいたところ、この聴診器を勧められました。驚くほど心雑音や呼吸音が大きく立体的に聴こえる素晴らしい聴診器です。
チェストピース(動物の体にあてる部分)が2つにわかれていることによって、音をステレオで聴取でき、左右の耳に別々に聞こえるのです。
今回、講演した先生の大学病院に、心雑音を主訴に紹介された症例の8割は心雑音がないそうです。すなわち、心雑音がないにも関わらず、心雑音があると誤診してしまう獣医が非常に多いそうです。このような誤診をしないように、日々聴診を鍛えなければならないなと思いました。
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心臓超音波研修6回目~先天性心疾患~
3月6日(日)は診察を10時までにさせて頂いて、院長と心臓の超音波研修に行ってまいりました。この研修は10月~3月にかけ毎月1回、合計6回開催され、今回は6回目つまり最後の研修でした。今回は先天性心疾患についての研修でした。
若いわんちゃん・ねこちゃんで特に強い心雑音を聴取した時には先天性心疾患を疑います。(弱い心雑音は正常なわんちゃん・ねこちゃんにもみられることもあります)
<犬でみられる先天性心疾患>
①動脈管開存症
②心室中隔欠損症
③肺動脈狭窄症
④大動脈狭窄症
⑤心房中隔欠損症
⑥ファロー四徴症
<猫でみられる先天性心疾患>
①左室形成異常
②大動脈狭窄症
③心室中隔欠損症
④心房中隔欠損症
⑤ファロー四徴症
上記の先天性心疾患における超音波検査(エコー)での診断方法を勉強してきました。
先天性心疾患はわんちゃん・ねこちゃんともにそんなに多い病気ではないですが、もし来院された時には診断できなければいけないなと思いました。
10月~3月にかけ、毎月1回、日曜日に診察時間を短縮させて頂き、皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。今回の研修は実際にわんちゃん・ねこちゃんに自分でエコーをあてて行う実習形式だったので、より実践的で勉強になりました。
今回の実習で得た知識を生かして、これからも心エコー検査をより積極的に行っていこうと思っております。
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心臓超音波研修5回目~猫の心筋症~
2月27日(日)は診察を10時までにさせて頂いて、院長と心臓の超音波研修を受講してきました。(研修日の診察時間の変更はこちらになります。)
今回は、猫の心筋症についての研修をうけてまいりました。
心筋症は心臓の筋肉の厚さや働きの状態によって以下の5つに分類されます
①肥大型心筋症 (HCM)
②拘束型心筋症 (RCM)
③拡張型心筋症 (DCM)
④不整脈源性右室心筋症 (ARVC)
⑤分類不能型心筋症 (UCM)
猫では①肥大型心筋症が最も多く発生するといわれています。
【肥大型心筋症について】
左心室が狭くなることによってその上にある左心房に血液がたまって大きくなり、レントゲンでは「バレンタインハート」とよばれる特徴的な心臓の形をみることができます。このような状態では心臓の働きは急激に低下し、同時に肺水腫を起こしていることが多いです。
超音波検査では左室壁の求心性肥大(6mm以上)、左室内腔の狭小化などが認められます。
さらに突然の痛みと同時におこる後肢の麻痺もこの病気の1つの特徴とされています。(大動脈血栓塞栓症)
これらの症状は進行が早く、ある日突然おこり1~3日以内に急激に悪化することがあります。
このような症状がでてから治療を開始しても、死亡率が高いといわれています。
よって、健康な時から健康診断によって定期的に超音波検査を行い、早期に心筋症を発見することが大切です。
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心臓超音波研修2回目~右側傍胸骨短軸断面~
先週は院長と都内で開催されている心臓の超音波研修を受けてきました。
(研修日の診察時間の変更はこちらになります。)
今回は、右側傍胸骨短軸断面(乳頭筋・心尖・腱索・僧帽弁・大動脈弁・肺動脈レベル)について研修をうけてまいりました。
【右側傍胸骨短軸断面】
①乳頭筋レベル
②僧帽弁レベル
③肺動脈レベル
これらの断面では心房・心室の大きさ、大動脈・肺動脈の拡張の有無などについて形態的な評価を行うことができます。
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心臓超音波研修1回目~右側傍胸骨長軸断面~
10月17日(日)は診察を午前10時までに短縮させて頂いて、院長と二人で都内で開催されている心臓の超音波研修を受けてきました。
この研修は10月から3月にかけて行われます。(研修日の診察時間の変更はこちら)4名1組で実際にわんちゃん・ねこちゃんに超音波診断装置(エコー)をあて、心臓の描出方法をマスターするのが目的です。研修は講義が1時間、実習が2時間になります。
今回は、右側傍胸骨長軸断面(四腔断面(左室流入路)と五腔断面(左室流出路))について研修をうけてまいりました。
【右側傍胸骨長軸断面】
①四腔断面(左室流入路)
②五腔断面(左室流出路)
この断面では心房・心室の大きさ、大動脈拡張の有無、壁の厚さ、弁尖肥厚の有無などについて形態的な評価を行うことができます。
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猫のフィラリア症
本日は猫のフィラリア症についての院内セミナーを開きました。
フィラリアはわんちゃんの病気としてよく知られていますが、猫ちゃんにも感染します。呼吸困難、咳や嘔吐が主な症状で、放置すると突然死を引き起こすこともあります。わんちゃんのように診断や治療が確立されていないので、予防が重要です。蚊が媒介するので、室内飼いの猫ちゃんも油断できません。
今回のセミナーで一番驚いたことは、1997年の報告では日本の猫ちゃんの12%がフィラリアに感染しているそうです。
一番の予防方法は蚊に刺されないことですが、ふつうの生活で全く蚊に刺されないことは困難です。当院では猫ちゃんのフィラリア予防薬を揃えておりますので、猫ちゃんを飼われている方は、ぜひご相談ください。
予防期間は毎年5月~12月になります。
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僧帽弁閉鎖不全症(ISACHC分類(心不全の機能分類))
10月4日(日)、午前診療終了後、新宿で開催された日本獣医生命科学大学の竹村先生の心臓病の勉強会に行ってまいりました。
僧帽弁閉鎖不全症の病態・診断・管理についての講義です。この心臓病は主に中・高齢の小型犬に多いといわれています。当院においても開業してからの半年間に、僧帽弁閉鎖不全症と診断し、治療をしているわんちゃんが数頭おり、新しい知識を得てよりよい診断・治療が行えればと思い、参加しました。
まず、心不全症例は重症度に応じ以下のように分類されます。
【ISACHC:心不全の機能分類】
Ⅰ. 無症状
Ⅰa:心疾患の所見あり。心拡大なし。
Ⅰb:心疾患の所見あり。心拡大あり。
Ⅱ. 軽度~中程度の心不全
安静時・軽い運動で心不全症状が出現。QOLを障害。
Ⅲ. 進行した心不全(重症心不全)
Ⅲa:自宅療法が可能
Ⅲb:入院が推奨(心源性ショック・生命を脅かす浮腫・大量の胸水、難治性腹水)これらの病期に応じ、薬を処方します。この日の講義にでてきたお薬はなんと12種類!病期が進むにつれ、2種類、3種類・・・というようにお薬を併用していくわけです。
最近、咳をするようになった、呼吸が速くなった、疲れやすくなった、突然倒れるようになった・・・などの症状がみられましたら、心臓病かもしれませんので、お早めに御来院下さい。